第5章 地獄の洗濯場を改革します!
パシーン!という音が、洗濯機の回転する音と共に洗濯地獄内に響き渡る。 顔にかかる洗濯物をはらい落として、アゼルはようやく自分の身に降りかかった不幸な事件と私の胸を揉んでいたというアクシデントに気づいた。
アゼルは顔を真っ赤にしたまま、洗濯物の山から半分だけ顔を出していた。
「……す、すまん。完全に……事故だった……」
「事故でも!揉んだ事実は消えないからね!」
私は怒りと羞恥心が入り混じった顔で洗濯物をぶんぶん振り回しながら、アゼルから距離を取った。亡者たちは洗濯桶の手を止め、固まったままこちらを見ている。
「おいおい、またラッキーエロ発動ですかぁ?」
スーツのズボンのポケットに手を突っ込み、大股でやってきたセロスが、洗濯機の中を覗き込みながらニヤついた。
「毎回イチャコラこいてんじゃねーぞ、お二人さん!
ワイにもそんなイベント、用意してほしいわ!」
けっと吐き捨てるように言い放つセロス。その声に反応するように、洗濯槽を覗き込んでいた亡者たちが次々と呟き始める。
「地獄で一番罪深いの、あの人じゃ……?」
「いや、揉んだのは案内人の方……」
「でも叩いたのは女の子の方……」
ざわざわとした空気が洗濯場に広がる。私は顔を真っ赤にしながら、洗濯機のハンドルを回すふりをして誤魔化した。
「もう!いいから!洗濯に集中して!」
アゼルは洗濯物を抱えたまま、そっと背を向けた。耳まで真っ赤だった。
しばらくして空気が落ち着くと、亡者たちは再び洗濯に向き合い始めた。澄んだ水の中で、衣が静かに揺れている。
私は深呼吸をして、洗濯桶の中の衣を持ち上げた。血と泥にまみれていたそれは、少しずつ白さを取り戻していた。
「……うん、ちゃんと落ちてる」
澄んだ水の中で、衣がゆっくりと揺れていた。血と泥にまみれていたそれは、白さを取り戻しながら、まるで罪が剥がれ落ちていくようだった。
隣の亡者が、洗濯桶の水面を見つめながら呟く。
「こんなに澄んだ水……地獄に来てから初めて見た」