第5章 地獄の洗濯場を改革します!
その後、私は手動式の洗濯機にも目をつけた。回転軸が歪み、排水口が詰まっていた。アゼルが工具を渡してくれると、私は慣れた手つきで分解を始めた。
「君、手馴れてるな」
アゼルがぽつりと言う。
「うん。一人暮らしだったからね。こう言う家電の修理は、修理屋に頼むこともあるけど、お金かかるから、なるべく自分でやってたら、いつの間にか大抵のものは直せるようになったんだ。」
洗濯機の排水が流れ出す音が、洗濯場に心地よいリズムを刻んでいた。澄んだ水が桶に満ち、亡者たちの手元の衣が、少しずつ本来の色を取り戻していく。
「……落ちてる。汚れが、本当に落ちてる」
誰かがそう呟いた瞬間、周囲の亡者たちがざわめいた。彼らは手を止め、衣を持ち上げて見つめる。血と泥にまみれていた布地が、白に近づいている。
一人の亡者が、洗い終えた衣を顔に近づけて、そっと目を閉じた。
「……これ、母が洗ってくれた匂いに似てる」
その言葉に、私は手を止めた。
胸の奥が、なんだか締めつけられる。
「洗濯って……誰かのためにするものだったんだよね」
私はぽつりと呟いた。思い出すのは、家族の洗濯物を干していたあの頃。冷たい洗濯物と格闘するように濡れた洗濯物を干していたあの日々……