第88章 動如雷霆(どうじょらいてい)
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まずい、身体が、痺れて言うことを聞かない。
意識も・・・ぶっ飛びそうだ・・・。
「・・・識を奪っているので、危険はないと思われるのです。」
「今のうちに神宝を回収せえ・・・あと、こいつも、しゃーないな。腹掻っ捌くか。」
遠くで声が聞こえる。
もうろうとしていた意識が次第にはっきりしてくるが、目を開けることはしなかった。
どうやら、敵方に捕まってしまったらしい。
口にはしっかり猿轡をされている。これでは、妖怪を使役することができない。
声がキーだということがバレてしまっている。
畜生・・・。
幻獣たちは皆やられた・・・やられたのか?
いや、一匹だけ、残っているはずだ。
かろうじて、意識が繋がっていたことで、まだ使役は解かれていないはず・・・
あいつが、最後の希望だ。
「死返玉も、こいつの腹の中なんやろ?なあ、ダリはん」
「ああ、そうだ。我の手が握っているはず。腹に気配を感ずる」
「人型に戻ってくれ、言うても聞かんやろしな・・・。しゃあないな」
キンと、音がする。
どうやら、あの糸目男が剣を抜いたようだった。
まずい・・・まずい・・・このままじゃ、カダマシが。
そして、カダマシがやられれば、俺がここから逃げる術はない。
畜生・・・あいつ、早くしろよ。
お前なら、声を出さなくても分かるだろ?
俺がしてほしいこと、俺が、あいつに言いたいこと、あいつに伝えてほしいこと・・・
行け・・・行け・・・行け!
サトリよ!!
「オマエ・・・ヨワッチイやつだなあって・・・思っただろ?」
上の方で声がした。その声に反応して、一斉に陰陽師たちがその方を見た。
巨大化し、大鹿島の水の結界に捕らわれたカダマシの肩の上に、黒い毛に覆われた猿のような獣がいた。そいつは、腕だけが異様に長く、目が血走ってランランと輝いていた。
「オマエラ・・・ナニモノだ・・・思っただろ?」
嫌な、予感がした。それはその場の全員に共有されていた。
「何やアイツ!・・・討てぃ!」