第88章 動如雷霆(どうじょらいてい)
ギリリ、と大鹿島が弓を引く。
「破門・火龍一閃」
放たれた矢を、獣は軽々と避ける。
「オマエ・・・・眉間、狙おうと、思っただろ?」
獣は大鹿島の方を見て、ニヤリとやらしい笑みを浮かべた。
「土御門さん、あれ・・・あれは・・・サトリなのです!」
「ち・・・厄介やな・・・まだおったんかい」
サトリが、うんと大きく頷くと、また、カダマシの耳元で言った。
「オマエ・・・一番弱い・・・そう思われてるだろ?」
ドクン・・・とカダマシの身体が震えた。ビシと水公結界が軋む。
「あ・・・お・・・お・・・」
「オマエ、何もできない・・・デクノボー・・・思われているだろ?」
カダマシの巨体が、ガタガタと震えだす。ズズズと地鳴りが起き、周囲の森の生き物たちはその殺気に当てられ、我先にと宙に、森の奥に逃げようとし始める。
まずい、まずい・・・
なんか知らないけど、まずい!
しゅん・・・と闇夜に影が舞った。
カダマシとサトリの背後に、黒い影が浮かび上がる。
それは左手で槍を一閃させた。
「オマエ・・・槍で・・・ガアっ!」
サトリの首が切り裂かれ、ついでに、カダマシの首も切断される。
影の正体はダリだった。左手には退魔の槍『天魔反戈』があった。
「お!やりよった!」
ダリがその意を極限まで消した一撃で、心を読む妖怪サトリの首を刎ねたのだ。そして、その勢いで、カダマシの首も一緒に・・・。