第11章 針小棒大(しんしょうぼうだい)
「ほら、食え」
おばあちゃんだろうか、助けの右隣に座っている人が囲炉裏にかけてある鍋から汁物をよそって田助に渡す。左隣には先程の母親、向こう側には大柄な男性・・・多分田助の父親だろう、が座っていた。
田助が今日やった遊びの話をする。おばあちゃんも父親も大声で笑っていた。ついで、父親が明日は草取りをするから手伝えと田助に言い、田助が不服そうな声を上げる。
いいなあ・・・いいなあ・・・。
あったかそうで、いいなあ・・・
みんなにこにこで・・・いいなあ・・・
節穴から目を離して周囲を見る。
そこは暗く、星あかりがチラチラと瞬くだけだった。虫の声がりーんりーんと寂しげだ。遠くでさやさやと川のせせらぎが聞こえる。
でも、誰も笑ってはいない。
暖かい火もない。
話をする人も、話をしてくれる人もいない。
山の上に月がかかっている。それを見上げた。
「おとう・・・おかあ・・・」
言ってみるが、答えたのは、風だけだった。