第11章 針小棒大(しんしょうぼうだい)
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【針小棒大】針ほどの小さいことを棒ほどに大きく言うこと。物事をおおげさに言うこと。
大げさすぎると、言われた方はすっごく困っちゃう、みたいな。
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ぴょこんと草むらから顔をのぞかせる。あたりをキョロキョロと見ると、眼下には人里が見えた。
「里だ・・・」
いくつもの家が立ち並び、家の台所からは食事の準備をしているのだろう、薄く煙が立ち上っている。まだ野良仕事が与えられていない小さな子どもたちがすすきの花を振り回しながら田んぼのあぜ道を走り回っている。
「田助!田助!ほーら、ご飯だよ!」
子どもの一人の名前なのだろう、母親らしき人の呼び声で、ちびっこい子が後ろを振り向く。母親の姿を見つけると一目散に走っていき、その足に抱きついた。
「ほーら、ご飯だよ。ほれ!あんたらももう帰りな!日暮れっと、夜道怪(やどうかい)にさらわれっぞ!」
夜道怪という妖怪が恐ろしいのか、きゃあー!っと蜘蛛の子を散らすように遊んでいた子どもたちが次々と家路につく。
その母の言う通り、あたりにはあっという間に夕焼けが落ち、日が沈んだ。暗くなった辺りには虫の声が響き渡る。
どうしても人間の生活が見てみたくて、こっそり『田助』の家の近くまで来て、板の節穴から覗いてみた。
囲炉裏を囲んでちょうどこっちに背を向ける形で田助が座っていた。囲炉裏には赤々と火が燃え、遠目に見ても暖かそうだった。