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天狐あやかし秘譚

第86章 其疾如風(きしつじょふう)


一見何の変哲もない、白っぽい石だが、これがアレキサンドライトの原石なのだそうだ。アレキサンドライトという石のことははっきりいってよく知らない。宝石の種類らしいのだが・・・?

「帰ったら、あなたのこと、必ずちゃんと調べるからね」

だからお願い、もう少し私を守って・・・!

そう、念じて、ぐっと握りしめた・・・と思ったのだが。

コロン・・・

握りしめそこねて、大事な大事なアレキサンドライトを床に取り落としてしまう。慌てて拾い上げようとするのだが、コロコロ、コロコロ、転がっていき、手に取ることができない。

ま、待って!

どんな勢いがついたのか、石はコロコロ転がり、ついにはぴょんと跳ねて、障子を突き破って外に出てしまった。

え?ちょ・・・ちょっと!!
慌てて障子を開くと、そこは次の間だった。そして・・・

ぎゃあああ!!

そこにいたのは、100匹以上の『頭おちんぽ蛇』の大群であり、しかも・・・
アレキサンドライトは、影も形もなかった・・・のである。

そう、この時、私は知らなかったのだ。
現実世界で、私が持っていたアレキサンドライトを、クチナワが放り捨ててしまったことに。そして、同時に、私の肉体が、貞操の危機に陥っていることに・・・。

ぴ・・・ピンチ!!
ピンチ、ピンチ!
私、人生最大のピーンチ!

嫌な汗が、背筋を伝って落ちていっていた。
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