第10章 迷途忘路(めいとぼうろ)
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店の中もなんとなく前時代的というか、まるで時代劇のセットのようだった。そうでなければ、高級な料亭のような?
三和土があったので、赤い着物の女性に促され、私達は靴を脱ぐ。そのまま廊下の奥に案内された。長い廊下の左右にたくさんの襖が並んでいるところを見ると結構大きな店のようだ。
やば、めっちゃ高かったらどうしよう。
案内されるままに部屋に入る。中は若干暗いが、障子を通して外からの光も入っており、それなりにきれいな和室だった。そういうコンセプトのお店なのかな?不思議な雰囲気の店だった。
待っていると、すぐにこれまた着物を着た店員さんがメニューを持ってやってきた。こっちの人は着物の色が浅葱色。心なしか、外の呼び込みをしている女性と顔が似ている気がする。姉妹かなにかかもしれない。
「こちらがメニューでーす♪」
やはり、店の雰囲気に合わない明るい調子の声だ。どうやら彼女は、この部屋についている人のようで、私達が注文するまでじっと待っているつもりのようだ。メニューは和紙に筆で書かれており、見てみると、やはり和食メインのようだ。
きつねうどんあるな・・・。
おかめうどん・・・うーん、私と清香ちゃんはこれを分け合おうかな。
良かった・・・この外見に比してメニュー内容はリーズナブルだ。
「すいません」
振り返って、浅葱の着物の女性に声をかける。
「これとこれ、それからちっちゃいお椀をください」
「はーい!」
元気に返事する。特にメモ取らないんだ?
「おい、主(あるじ)よ・・・」
ダリがおもむろに口を開く。いや、この人、主(あるじ)じゃないと思うけど・・・。
「ここのは、本当に食えるのか?」
ちょ・・・何てこと聞くのよ!
そうか、ダリってば外食初めて?それで、警戒してそんなことを!!
「あ・・・いや、ほんと、すいません。だ・・・ダリ!大丈夫よ、ちゃんと食べられるから!」
「もっちろんでーす!」
よかった、ウェイターのお姉さん、気にしてないみたい。なんか合わせてくれたし・・・。
私は『本当にごめんなさい』と心の中で手を合わせる。こう見えて変な人じゃないんです。いや、そもそも人じゃないか・・・。
もう!変なこと言わないでよ!