• テキストサイズ

天狐あやかし秘譚

第10章 迷途忘路(めいとぼうろ)


☆☆☆

「おおぉ!!!まま!これかわいい♡」

清香ちゃんがワンピースを取り出して、歓声を上げる。茶色いスカートに白い長袖のものだった。これから秋になるし、良いかもしれない。
お値段もまあ、そこそこだ。

「人の子の服も随分変わったものだ・・・」
ダリが物珍しそうに子供服売り場を見て回る。
「これなどは、清香の好みではないか?」
生成り色ベースの長袖ワンピースだ。青やオレンジの花柄があしらってあって可愛い。裏起毛で、これから寒くなるのに良いかも。

「ねえ!まま!あれは?あれは!?」
清香ちゃんがディスプレイのマネキンが着ている服を指差す。ジーンズに長袖の可愛いフリルの付いたTシャツに、キャップを被っている。うーん、こういう普段着的なのも必要か・・・。

ま・・・迷ってしまう・・・。
下着はある程度買ったし、後日常生活で使える服を洗い替えも含めて3−4着と思ったが、それが難しい。TPOや気温、汚れても平気かとか、お洗濯して大丈夫かとか、考える条件が多すぎる!

こ・・・子どもって大変・・・。

でも、キャッキャと喜んで売り場を走り回る清香ちゃんを見ていると幸せな気持ちになる。意外だったのは、ダリもあれこれ選ぼうとしてくれていることだ。うーん・・・いいパパになるのかな?
将来、家族が増えたら・・・こんな感じなのかな?ダリが・・・ぱぱ?
ぽっ、とちょっと顔が赤くなる。
ブルブルと頭を振る。そ、そもそも妖怪と結婚ってできるのかしら・・・。
あああ!どうしても妄想が甘い方に流れていく・・・。

あれ?

あらぬ方向を見て妄想を展開していた私の視界の端に確かに捉えた。着物の子ども。
やっぱりいた!
柱の陰に隠れてこっちをじーっと見ている。赤い着物を着た、おかっぱ頭の女の子だ。
私と目が合うと慌てて引っ込んでしまう。

なんだろう?超場違い・・・。

「ままー!これー。清香、着てみたーい!」
清香ちゃんの声ではっと我に返る。
「はいはーい。今いくよー」
私は何着か服を抱えている清香ちゃんを試着室に連れていくことにした。
/ 475ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp