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天狐あやかし秘譚

第10章 迷途忘路(めいとぼうろ)


☆☆☆
「おお・・・!ここは何じゃ?祭か?」
ダリが目を見張る。当然だろう。通路の左右にはキラキラと様々なお店が立ち並ぶ。しかも双方、三階建てだ。
「すごーい!お祭り〜♪お祭り〜♪」
清香ちゃんも大興奮だ。

ここは、東京都の郊外にあるMiraiアウトレットモール。先月リニューアルオープンしたばかりの、今、話題のアウトレット施設である。中央に劇場があり、色々なイベントをすることができるようになっている。二重円状に配置された建物に様々なお店が入っている。きらびやかだし、たしかにまるでお祭りのようだ。今日は平日ではあるが、そこそこ人が入っている。

話題の施設であり、私も見てみたかったし、少しでも安く子供服が買えるなら、と思って、ここに来ることにしたのだ。

わーい!わーい、と無邪気かつ無闇に走り回る清香ちゃんを見ていると、なんだか気持ちがほっこりする。

ダリによると、通常、死霊はいるだけで生者に多少は害になるそうなのだが、今の清香ちゃんにはほとんどそういう問題はない、というのだ。説明がよく分からなかったが、死霊の悪影響の殆どは、それが持つ「陰」の気、すなわち、恨みや妬み、後悔などの感情的要素だそうだが、どういうわけか、今の清香ちゃんはそういうものが払拭されているのだという。

「綾音の優しさのせいかもしれん」などと真顔で言われて、思わず赤面をしてしまった。

なので、日常生活でもできるだけ、清香ちゃんに陰の気を抱かせないようにするのがいいと言われた。そういうことなら、彼女が生きてる時にできなかった楽しいことをいっぱいさせてあげたい、と思ってしまう。なにせ、私とダリは、彼女の『まま』と『ぱぱ』なのだから。

「清香ちゃん!お洋服見に行こう!」
おいでおいですると、ぴょんと私の手につかまってくる。そして、ぴっとダリの方に反対の手を出す。ダリが一瞬戸惑ったような目を私に向けてきたので、頷いてみせると、彼も恐る恐る手を出す。その手をギュッギュッと清香ちゃんが握った。

私が清香ちゃんの右手を、ダリが左手を握っている状態だ。

まるで・・・本当の親子みたい。

なんだか、ちょっと、くすぐったい気持ちになった。
さあ、三人で、モールを探検しよう!
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