第7章 天佑神助(てんゆうしんじょ)
「そもそも、姉ちゃんが邪魔しなきゃ俺の魂送りで、あの清香って子を優しく常世に送ってやれたんだぜ?もう魂込めまで行ってたんだし」
「なんとか、狂骨から引き離せないの?まだ、見えているのに!」
「ありゃダメだ。もう、融合しかけているし、あれを引き離すなんて人間業じゃできねえ・・・。諦めろ」
そんな、そんな・・・。
でも・・・人間業じゃ?
「人間じゃなきゃ・・・できるかも?」
「何だ、姉ちゃん、人間以外のお友達がいるのかよ・・・。今のはモノのたとえだ。言ってみれば、インクが混ざった水からインクだけ取り出すみたいな?無理っしょ、普通」
呆れたように御九里は言うが、私は諦めがつかない。
人間じゃなきゃ・・・じゃあ・・・ダリなら?
考えている間に御九里が色めきだつ。
「やべ!気づかれた・・・。俺、隠形術苦手なんだよな・・・」
さっきまでフラフラさまよっていた狂骨が明らかにこっちを認識した様子で迫ってくる。
「姉ちゃん?一応・・・一応聞くが、その・・・人間以外の知り合いって何?あんたもしかして、なんかの使役者?そういや、結界の中にふらっと入ってきたりしていたし・・・」
使役者、って?
「よくわかんないけど、一応・・・知り合いというか・・・」
知り合い以上かもしれないけど・・・。
あんなことや、こんなことしちゃってるし・・・。
「契りを交わした?」
そう言えば、ダリが東北で言っていたような。『契は、成った』って。
「た・・・多分」
目の前まで、狂骨が迫っている。
「じゃあ・・・じゃあ、呼べよ!早く!なんか持ってるんだろ!とにかく左前さん来るまでなんとか凌がにゃいけないのよ・・・こいつ、めっちゃ強いわけよ!」
「さっき呼んだけど!来なかったのよ!」
「バカか?!ちゃんと呼べ!心の底から、願え!求めろ!お前が使役者なら、必ず来るから!」
必ず?
「いいか、もう結界もたねえからな!3・2・1で結界を一気に解除するから、お前は左に、俺は右に走る!少しでも時間稼ぐぞ!」
え、ちょ、待って!!!
「3・2・1!」
パチン!と目の前で何かが弾ける感覚がした。結界、解けたの!?
脱兎のごとく御九里が右に走る。私は、・・・出遅れた!
「何やってんだ!走れ!!!」