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天狐あやかし秘譚

第7章 天佑神助(てんゆうしんじょ)


御九里は私の腕を引きながら、耳元に手を当て何やら叫んでいた。
「だから!狂骨!?わかる?乙種なわけ!俺じゃあ、もたねえよ。え?何?左前(ひだりまえ)さん?2時間かかる!?バカヤロウ、死ぬわ!俺!」
ちくしょーと叫びながら私の手を引き、公園の木立の中に入り込む。

「この木叢(こむら) 物のな入そ 我ぞこもれり
 この杜の 姿かくしそ 声ぞ凪ぐべし」

御九里が懐剣を地面に突き刺し、呪言を唱える。
一段、周囲が暗くなったように感じた。

「こ・・・これ・・」
「結界・・・目眩ましの簡単なのだけど。狂骨はアホだから、これでちょっとは凌げる」
「な・・・なに・・アレ?」
「狂骨!狂った骨って書く凶悪な妖怪だ。ここ、昔処刑場かなんかだったんだな・・・ぬかったー」

公園の中央では狂骨が私達を探しているのか、ウロウロと歩き回っている。御九里が言うように確かにこの結界は目眩ましになっているようで、私達のことは相手から見えないようだ。

「なんだ、姉ちゃん、あの子供の霊の関係者か?あいつのせいで、狂骨が起きちまった。だから、早く祓えばよかったのに」
「どういうこと?」
「狂骨ってのは、不条理な死を遂げたやつの怨念の集合体なの。ここはきっと昔処刑場かなんかで、昔の処刑なんて、不条理なもんばっかだっただろ?だから、そういう恨みが集積してんだ。あの子も、多分、姿かたちから言って、ろくな死に方してないじゃん。それで、狂骨が誕生する最後のひとつのピースになっちまったってところだな」
それって、清香ちゃんが妖怪になっちゃった・・・ってこと?
「そんな・・・清香ちゃんはまだ、中にいるのに!」
「清香?あの子供のことか?」
私は簡単に清香ちゃんのことを御九里に説明した。
「なるほどね。虐待死・・・それで狂骨に取り込まれたんだな・・・。気の毒だけど、狂骨の一部になっちまった以上、どうしようもない。もう、あれ全部を調伏するしか・・・消滅させるしか方法がねえ。まあ、それもそんな簡単じゃねえんだけどさ・・・。見ただろ?あいつめっちゃ強いの。妖力半端ないわけ。乙種っていって、危険度めちゃ高なのよ。俺じゃあ正直歯が立たねえ。だから、今、俺より強い術者を呼んでるところなわけで、それが来るまでの辛抱だ・・・なんだが・・・。」

そんな・・・。
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