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天狐あやかし秘譚

第6章 霖雨蒼生(りんうそうせい)


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【霖雨蒼生】苦しんでいる人々に、救いの手を差し伸べること。
喉の乾きを癒す、優しい雨のような人、みたいな。
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次の日、私は不動産屋さん巡りをお休みして、地元の図書館に行った。
やっぱり昨日の幽霊のことが気になってしまっていたのだ。

ここ1年の新聞から遡り、地方紙を中心に「キヨカ」という名前の子供が亡くなった事件もしくは事故を調べる。

1年前・・・ない。
5年前・・・ない。

2時間くらいかかっただろうか。11年前の新聞でやっと見つけることができた。

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東京都〇〇市在住の時本祐也(35歳自営業)は、同居していた内縁の妻である水元美穂(26歳)と長女水元清香(4歳)に暴行を加え、殺害したとして殺人容疑で逮捕された。清香ちゃんは全身火傷を負った上、30箇所以上の傷が見られた。▼家には何度か児童相談所の職員が出入りしていたが、虐待死を防ぐことができなかった。担当児童相談所の姫島隆所長は「虐待死を防ぐことができず、児童相談所としては大変遺憾です」との声明を発表した。
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この事件をキーワードに図書館でネットのニュースなどを検索したところ、清香ちゃんは母親の内縁の夫である時本から常時、虐待を受けていたという。そして、最期は・・・。

目を灼けた鉄の棒で焼かれ、
耳は殴られすぎて鼓膜が破れ、
全身に何ヶ月にも渡って殴られ続けたミミズ腫れが広がっていた、という。

そして、時本の供述から、まず清香ちゃんの前で母親である美穂を鉄の棒で撲殺してから、清香ちゃんを殺害したようだった。

目を覆いたくなる、耳を塞ぎたくなる凄惨な事件だ。昨日の夢も合わせて、最期のときに彼女が感じた感情を思うと、涙が溢れてくる。彼女の心残り、私に流れ込んできた一番強い感情は・・・母親を守れなかったという後悔だった。

ネットには清香ちゃんの生前の写真がアップされていた。可愛らしい、どこにでもいるような普通の女の子だった。

その普通の4歳の女の子、清香ちゃんが目の前で母親を殺されて、それを助けられなかった自分を責め続けているのだ。11年間も、たった独りで。
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