第43章 報恩謝徳(ほうおんしゃとく)
☆☆☆
たったったったった
拙者はいつもの場所に向けて走っていた。『くみんせんたー』というところだ。そこには『じどうぷらざ』という場所があり、子どもがゲームをしたり、工作をしたりできる部屋があるのだ。
その入口で環が拙者を待っていた。
「あ!おーい!芝三郎!!」
ぴょんぴょんと環が飛び跳ねながら手を振る。相変わらずの元気さだ。
彼女はいつもどおりの樺茶色の短い着物・・・『すかーと』と清香は言っていたな・・・、に白色の何やら外来の文字が書かれている上着・・・今風に言うと『ぱーかー』というのだろうか・・・を着ている。いつもの装束だった。
拙者は綾音に選んでもらった海松茶の厚手の『ずぼん』に赤い『ながそでてぃーしゃつ』、その上に黒の『じゃんぱー』という出で立ちだった。
「今日もよろしく!芝三郎!!」
環が拙者の手を取る。綾音や瀬良以外の者と手を繋いだことなどないので、何やらどぎまぎするが、動じている様子を見せるわけにはいかないので、顔に出さぬようぐっと堪える。
連れ立って、『じどうどあ』を抜け、階段を登り、二階に。工作室は階段を登って左手にあった。
持ってきたカバンの中から昨日まで作ったものがしまわれている箱を取り出した。缶の箱にたくさん入っていたのは、折り紙で作った様々な動物や人、家などだった。
どうやら、環は手先があまり器用ではないらしく、この折り紙を拙者に折って欲しがるのだ。
拙者も折り紙などはあまりやったことがないのだが、環は自分は折れないくせに教え方はやたら上手で、『こうやって、こうして折るの』など、細々と言ってくる。彼女の言う通りに折っていると、真四角の紙が、たちまちに猫や犬、家や木、ヤッコや鶴の姿になる。
それが不思議で、そして面白かった。
今日は、これまで作ってきた折り紙たちを紙に貼り付け、絵を描いて『ぷれぜんと』とやらを完成させる算段になっていた。
「貼り付けるくらい、主がやったらどうだ?」
「いいのよ!私は。芝三郎がやったほうが上手だもん」
「貼るだけではなく、絵も描くのだろう?」
「それもお願い♪芝三郎♡」
キュッと手を握られると、無理な願いも聞いてやりたくなってしまう。
もし、拙者に妹がいたら、こんな気持になるのだろうか、と少し思った。