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天狐あやかし秘譚

第43章 報恩謝徳(ほうおんしゃとく)


☆☆☆
最近、芝三郎の様子がおかしい。

前は、よくリビングでゴロゴロしたり、テレビでアニメを見たりしていたが、最近、やたらと外に行く。

まあ、子ども(?)は風の子というくらいだから、外に出て遊んでくるのは誠に結構なことだし、あれでも一応あやかしなので、さらわれたり事故にあったりという心配もない。

ただ、朝食が終わり、しばらくそわそわし、時計を気にして10時くらいになるとそそくさと出ていく様子は、なんとも怪しい。

何か・・・隠している?

そして、今日も彼は出ていった。
一応、どこに行くの?と聞いてみたが、『いや、大した用事ではござらん!公園に行ってくるでござる〜』と言って走っていった。

誠に怪しい。

「ねえ、清香ちゃん。芝三郎、何やってるか知っている?」
リビングの机でグリグリとクレヨンでお絵かきをしている清香ちゃんに尋ねてみた。絵は、多分お家と・・・私と自分かな?大きい大人の女の人と、小さい女の子が手を繋いでいた。

ごめんね、邪魔しちゃって・・・。清香ちゃんが手を止めて、私を見上げる。

「うーんと・・・えーっと・・・なんか、プレゼント作るって・・・言ってたよ」

プレゼント・・・?言われてみれば、もうすぐクリスマスだ。そのプレゼントを、作っている?狸にもクリスマスの概念があるのだろうか?
何を作っているのか、いささか謎だが・・・まあ、そういうことならほっといていいのかな?

「おい、綾音よ!・・・これは何だ?」

テレビを見ているダリが呼んでいる。何か、興味深いものがあったのだろうか?
「はいはい・・・なに?」

こういうちょっとした瞬間に、なんか、家族って感じがする・・・。
なんか、あったかいな
と、ちょっと思ってしまう。

平凡な家族の休日の様子って、こんなかな?
まあ、実際のところ、今日は平日で、私は陰陽師としての仕事がないから家にいるのだし、この家にいる『人間』は実は私だけなのだが・・・。
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