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天狐あやかし秘譚

第40章 一意専心(いちいせんしん)


☆☆☆
一方その頃、私が思いを馳せていた『綿貫亭』では、ちょっとした騒ぎが起こっていた。

「まま!ぱぱ!今日、帰ってくるんでしょ?清香、駅までお迎えに行く!!」
「おう!拙者も行くでござる。土産があるやもしれぬ。彼の地は魚介がうまいと聞く」
騒ぐ一人と一匹を前に、私、瀬良夕香は腰に手を当て頭を抱える。

昨晩、明日には帰ってくる、と言ったのがいけなかった。朝起きてからずっとこの調子だ。そしてついでに言えば・・・。

「あの・・・私も・・・迎えに・・・」
ふわんとダイニングテーブルの上に浮かぶ木霊『桔梗』までもが『外につれて行け』と言い出す始末。

「はーやーくー!!!」
「急がねば、土産が腐る」
「綾音さんは・・・お元気でしょうか・・・」

あー!!もう!うるさーい!!!

綾音はこれに加えて天狐も相手にしていると思うと、尊敬する。
彼女はこれらをどうやって収めているのだ?

「ちょっと待って!落ち着いて!みんな!今!今、私、上司に確認するから!!!」
はあはあ、ぜえぜえ・・・。

私が大声を出したのにびっくりしたのか、一同はしんと静まり返った。その隙に、ちょっと離れたところで、とりあえず上司である土御門様にお伺いを立てるべく電話をかけた。電話口の土御門様に事情を説明すると、彼はこともなげに言う。

「ええんやない?東京駅まで迎えに行ったら」
ため息が出そうになるのを必死でこらえる。
「私一人では責任を持って連れていけません!それに、桔梗さんには憑依が必要ですし!!!」

んー・・・と電話の向こうで土御門がひとつ唸る。
「ほなら、わいも行こか。今、暇やし」

かくして、私と土御門様による、綿貫亭ファミリー(?)お出かけ作戦が決行される運びとなった。
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