第40章 一意専心(いちいせんしん)
☆☆☆
ぷわあああん。
向かいのホームを警笛を鳴らしながらのぞみ号が出発する。
「綾音さん・・・綾音さん!!」
宝生前に肩を揺すられ、ようやく私はぼんやりとした意識の焦点を彼に合わせる。次に、思う。あれ?ここはどこ?
「全く・・・ぼんやりするのも大概にしてください。さっきは人並みにさらわれそうになるし、その前は在来線の反対側に乗ろうとするし・・・。一体何がどうした・・・って、聞くまでもないか・・・。」
宝生前が、はあ、とため息をつく。
彼が呆れるのも無理ないほどに、私の様子はおかしかった。理由は推して知るべしである。
昨晩は、ほとんど寝ていない。そして、一晩中、ダリと・・・。
き・・・気持ちよかった・・・。
思い出すだけで、またアソコがキュンとしてしまう。初体験にも関わらず、一晩中ダリに愛されまくった私は、すっかり彼との交わり・・・えっと、セックスの虜になってしまっていた。
こ・・・困った・・・。
自分がこうもあっさり、心を、そして、身体をもメロメロにされてしまうなんて・・・。予想はしてはいたが、実際、なってみると、なんというか・・・恥ずかしいやら、なにやら・・・。
今も私は人間モードのダリの腕にしがみつくようにしている。彼の体に触れているだけで、気持ちがいい。
本当に・・・困った・・・。
「昨晩はお楽しみだったのかもしれませんが、あんまり人前でイチャイチャしないでくださいね。ほら、もう新幹線が来ます。草介さんはここまでですから、ちゃんとさよならしましょう。」
そう言われて、やっと自分がいる場所に思いが至る。ここはJR岡山駅の新幹線ホーム。私達は今日、東京に帰ることになっている。その私達を草介さんが見送りに来ていた。
「綾音さん、ダリさん、宝生前さん・・・。本当にありがとうございます。」
草介さんが深く頭を下げた。
「草介さんも、元気で」
私は手を振った。こういうのにあまり関心がないダリは明後日の方を向いているような気がするが、まあ、それはそれで許してほしい。悪気は、多分ない。