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天狐あやかし秘譚

第40章 一意専心(いちいせんしん)


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【一意専心】他に心を動かされず、ひたすら一つのことに心を集中すること。
絶対自分の意見を曲げないぞ、ここでずっと頑張っちゃうぞ、みたいな。
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月の明るい夜だ。

私は『綿貫亭』と綾音たちが呼ぶ家の屋根の上にふわりと浮かんで、月明かりを眺めていた。ここのところ、綾音と天狐が不在だ。清香と芝三郎はいるし、瀬良という綾音の知り合いが来て二人の面倒を見ているようだ。人の子はいるが、やはり綾音がいないのは、なんだか一幅の絵の中に大切な何かが欠けているような、そんな感じを私にもたらす。

これを人の子らは『さみしい』と言うのだろうか?

私は『さみしかった』ので、月明かりの降る屋根から、そっと周囲を見回した。この『綿貫亭』の周りにも、古い樹はたくさんある。そして、そのような歳を重ねた樹木には、やはり、私と同じような霊が宿るものだ。

私の目にはそれがまるで地上に落ちた星のように、ぽう、ぽうとそこかしこに輝いて見えた。

あれ・・・。

私は、この『綿貫亭』から少し離れた広場にある光に目を留めた。

ああ・・・あの霊は・・・。
見つめた私は、なんとかして、あの光のもとに行きたいと、願った。
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