第35章 窮鳥入懐(きゅうちょうにゅうかい)
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【窮鳥入懐】 窮地に陥った人が助けを求めてくること。
助けを求めている人の声なき声を、聞いて助けるが人の道、みたいな。
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「何?奴らがいない?!」
松前荘の女将からの電話で圭介が血相を変える。
「いかがいたしましょう?」
圭介の様子からただならぬ事態を察したのか、執事の多田が声を掛ける。
「東京から来た、とか言っていた学者が逃げたらしい。部屋には當間姉妹たちが縛り上げられていたってことだ。くそ!なんでこんな時間まで気が付かないんだ!」
圭介が吐き捨てるように言う。
「始末しますか?」
「木島たちを出せ。今朝にはすでに逃げていたというから、浮内本家に行った可能性がある。私も出る。準備しろ。」
圭介がジャケットを羽織る。多田は下がり、圭介の命を女中らに伝えていた。
「余計なことをさせるわけには行かない・・・」
ポツリと呟く。
そう、余計なことをさせるわけにはいかない。・・・浮内の永遠の発展のためにも・・・。
圭介は怒りに満ちた目で、歯を食いしばる。