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天狐あやかし秘譚

第33章 往古来今(おうこらいこん)


「お姉ちゃんはともかく、私はダメね・・・。」
「あら、海子・・・そんな事わからないわよ。どちらが清延様のお気持ちをいただけるか・・・競い合いましょうよ」
後二人、もう少し年若い娘がいるようだ。
しばらく話を聞いていたが、どうやらこの家には父母、娘二人が住んでいるのみのようだった。

どうしようかな・・・。ここがどこか、聞いてみるか?

でも、あの四人・・・いや、あのホシガリ様は明らかに女性だったので、母と娘二人が候補か・・・が、そのホシガリ様自身である可能性はゼロではない。だとすると、ここで、『ちわっす』とか入っていったら、そのまま餌食なんてことに・・・。

ちょっとブルっと震えが来た。

とにかく、今はダリがいない。
今までの傾向と対策からいって、こういった異界の中はダリが助けに来にくいことが分かっている。なんとか自力で出る方法を探さないといけない・・・かもしれない。

迂闊なことは出来ない・・・。

先程から中の話を聞いていると、どうやら、村一番の美男子である清延という若者を娘二人が取り合おうとしている、という構図らしい。

娘は妹のほうが海子、姉の方は名前を呼ばれなかったので結局わからなかった。

姉の方が自分の容姿に自信があるらしい。妹はそうでもないようで、むしろ、妹自身も清延が選ぶとすれば姉だろうと思っているような節があった。

きっと、お姉ちゃん思いの優しい妹なんだろうな・・・。
そう感じた。

一方、姉の方は口では妹にもチャンスが有る、風なことを言っているが、言葉の端々から察するに、『自分が選ばれるに違いない』と自信満々な様子だ。ちょっと、傲慢とも言えるほど自尊心が高い。そして、それにもかかわらず妹を競争に誘おうとする。妹を負かして、自分の美しさを証明したいと思っているのは見え見えだった。

少し・・・嫌な性格かも・・・。

そう言えば、ホシガリ様の話も二人の姉妹が出てくる話だった。
でも、あのお話の主人公である姉妹は長者の家の人間、という設定だったような気がする。
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