第21章 大声疾呼(たいせいしっこ)
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少しだけ、後日談を話そう。
まず、周辺の住民だが、鬼道が消滅し、安全が確保されたとわかった後、速やかに避難解除がなされた。ただし、パークヒルズ池袋の2階部分についてはしばらく宮内庁の調査のために閉鎖を余儀なくされたそうだ。
今回の被害者である倖田令児他3名の男性たちについてだが、まず、倖田以外の3名はかなり女怪からの妖気の侵食を受けていたということだ。かろうじて生きてはいたものの、脳や内蔵に大きな損傷が見られ、治療のために長期間の入院とリハビリ、そして、今回の事件のショックから立ち直るための妖魅による事件被害専門のカウンセリングを受ける必要があると言われているそうだ。
倖田令児については、他の3人よりも妖気の侵食が少なかったようだ。多分、他の3人を襲ったのが死霊である女怪だったのに対して、倖田を主に襲ったのが河西佳苗という生きている女性だったから、だろうとのことだった。ただし、精神的なショックは倖田が最もひどかったようで、日常生活を送れるほどに心が回復するまでにはやはり相当の時間を要するという見通しだった。
悪いことに倖田は他の3人よりも手足を失ったという幻に長くさらされていたため、入院後もなかなか自分の手足を認識できなかったらしい。もしかしたら後遺症が残る可能性もある、と言われていた。
さて、河西佳苗であるが、彼女もまた女怪として無理な力を振るったことによる全身の筋肉の損傷、内臓の損壊など身体的な問題が生じていたが、それよりも精神的な問題が大きいという。それは、女怪になりかかったためというよりは、倖田たちに無理やり犯され、感じさせられ、身体をもてあそばれたことによる深い絶望感が故だった。
彼女が再び人を信頼できるかどうか、そして、信頼できたとして、安心感を持って生活が送れるようになるか・・・、こちらもまた、長い年月が必要だという見通しだった。
そうそう、時間遅延のためにダリによって創造された異界の中にいた時、私が女怪に呑まれそうになった場面があったと思う。あの時、『まま!』とか『綾音殿!』という声が聞こえた気がして、それで助かったのだが、その話をしたところ、瀬良が『やっぱり!?』と反応をした。