第21章 大声疾呼(たいせいしっこ)
「話そう・・・教えて、あなたのこと・・・一人で、独りで・・・行っちゃわないで!」
だから・・・だから!
「ダリ!お願い!女怪を祓って!!鬼道を壊して!
河西さんを・・・河西さんを救って!!!」
私の声を聞いて、槍に力を込め続けるダリが薄く笑った。
「承知」
槍の穂先が一層の光を放つ。
ひぎゃあああああ
ぎゃあああああああ
その光に押され、気味の悪い声をあげながら鬼道から溢れた女怪の手が崩れた。
そして、最後の鬼道の欠片が、ボロリと崩れて、消えた。
周囲の空間がふわっと軽くなる。先程までの禍々しい妖気が消え失せ、嘘のような静寂に包まれた。
「終わったあああああ!」
土御門が、剣を降ろして膝から崩れた。河西を押さえ続けた左前がヨロヨロと立ち上がる。ダリがヒュンと槍を一振りし、槍はそのまま霧消した。
私はというと、河西佳苗を押し倒すような形で地面に突っ伏していた。
間に・・・あったの?
いろんなことが一瞬だった。でも、どうやら、河西佳苗は鬼道に呑まれず、闇は消滅し、誰も怪我人がいない、そういう状況のようだ。
河西は、気絶していた。
どういう理屈かわからないが、先程まで女怪のように真っ黒だった皮膚は元の色に戻り、まるで眠っているかのようだった。
ダリが私を助け起こしてくれる。
「大丈夫か・・・綾音・・・。」
「う・・・ん、なんとか・・・」
私も一応身体を触ってみたが、自分についても、どこも怪我はしていないようだ。
ダリが近くにいると安心してじわっと涙が出てくる。
今更ながらに、怖くなって、足が震えてきた。
ぎゅっとダリが、抱きしめてくる。
「綾音・・・やはり主は・・・」
また、彼のセリフは妙なところで途絶えた。だけどいい。こうして抱きしめてくれるだけdえ、私はとても安心できるから。
かくして女怪の絡んだ恐ろしい事件が、一応の終結を見たのだった。