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天狐あやかし秘譚

第21章 大声疾呼(たいせいしっこ)


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【大声疾呼】大声で激しく叫ぶこと。
心を込めて、大声で、何度も何度も呼べば、必ず道は通ずる、みたいな。
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長い、キスが終わる。
なんだか、ダリと久しぶりにキスをした気がする。そうか、ダリが河西佳苗を助けに行く時、キスしようとしたのを押しのけたんだっけ?

『ぱぱにちゅーしてあげればいいのに』
って、清香ちゃんに言われたんだった。
して・・・あげればよかった、と今になって後悔した。

それほど、キスは私の気持ちを落ち着け、心を蕩かした。
は!そうだ、こんなことしている場合じゃない!そうだ、私、ダリとキスしに来たわけじゃないんだった。

「ダリ!早く術を解いて。私、ここに長くいられないの!」
ダリを見つけたら術を解かせるのが私の使命だったのだ。ボーっとしてたら1000年経っちゃう!

「外は、どうなっている?」
ダリが聞いてきたので、作戦の概要を説明した。

「そうか、あの術者もいるのか」
あの術者、というのはおそらく土御門のことなのだろう。
「その糸はなんじゃ?」
私の右足にくくられた糸を見つけたダリが疑問の声を上げる。
「これ、ちゃんと同じ時間に帰ってこれるようにって、土門さん・・・ええと、占いとかを専門でやっている陰陽師・・・術者の人がつけてくれたの」
「それが現し世まで繋がっていると?」
「そうみたい」

ふむ、とダリが少し考え込む。

「その糸の端は誰が持っておる?」
ん?なんでそんなこと気にするんだ?
「えっと・・・土御門・・・さん?」
「あの術者か・・・。まあよいか・・・」

何か、考えたようだが、一人で勝手に納得したようだ。ダリが周りを見回す。私もつられて見回したが、いつの間にか、先程の寝殿造りの家は跡形もなく、ただただ暗闇だけがあたりに広がっていた。
「綾音・・・先程、主が見たものだが・・・」
さっき見たのって、ああ、あの女の人とのこと?
「碧音・・・さん?」
ダリが頷く。
「我の心根と、主の心根を女怪が読み取って見せたもののようだが・・・」
ダリの記憶も、ということは、単純に女怪が見せた幻じゃなくて、やっぱり実際にダリに関わることだったんだ。
「いつか、話さねばならないと思っていた・・・。黙っていて、悪かった・・・」
ダリが済まなそうにする。でも、私は首を振った。
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