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天狐あやかし秘譚

第3章 秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)


「わ・・れ・・・ここに・・・願い奉る」
碧が願いを唱える。まさか・・・まさか!
やめろ・・・やめろ・・・・
「わが・・・愛しき背子を・・・守り給へ・・・」
もう喋るな、死んでしまう。
「願い奉る・・・求め奉る・・・命、永らえんことを・・・」
わかった・・・もうわかったから。もうやめろ!!!やめろ!碧!!!

我の身体が光を放ちだす。『求め』を得て、妖力が甦る。
ダメだ・・・ダメだ・・・。

「行ってくださいませ・・・ダリ様・・・」
ギュッと碧音を抱きしめる。身体が光の粒になる。碧の身体の感触が徐々に消えていく。抱きしめる力を強くしても、ふわり我の身体は空を切る。

「ここより、逃したてまつり候!!」

碧音が渾身の力で奏上する、刹那・・・パチン、と夜が弾けた。
光が空間を満たし、我の身体は碧音の願い通り、かの地を離れてしまった。
愛しい者を、置き去りにして。

離れる瞬間、声が聞こえた気がした。
「お慕い・・・申し上げております。再び・・・彼の岸でお逢いしとうございます・・・」
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