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天狐あやかし秘譚

第113章 実事求是 (じつじきゅうぜ)


☆☆☆
夢の続きを見ていた・・・

『うん、大変なこともあるよね、きっと。ボクには想像もつかないところもあるけれども・・・。でもね・・・』

その人は私の目をじっと見つめてくる。
その目はとても澄んでいて、キラキラとしていたのを覚えている。

『知ることは悪いことじゃない。
 本当に人を救うのは、本当の真実だけ・・・だとボクは思うんだ』

『本当の・・・真実?』

いつも、私は『知りたくない』と思っていた。

人が考えている醜い思いなんて
誰かが誰かを憎んでいる原因なんて
誰かが傷つく未来なんて

そんな汚いものなら知りたくない、そう思っていた。
でも、真実が人を救うって?

『知らないとね、判断を間違うでしょう?
 だから、人は正しいことを常に知りたがる。それは、正しい判断をするため、後悔のない決断をするため・・・じゃないかって思うんだ』
『でも、でも、でもさ・・・嫌な真実もあるよ?』
『うん、そうだね。でもさ、嫌なことから目を背けていたら何も変わらない・・・って思うんだ。
 それがたとえ、それが自分にとって辛いことでも・・・ね?』

なんだか、その人は何かを思い出したみたいに、少しだけ遠くを見た。でも、すぐに私の方に目を向けて優しく微笑んでくれた。

『こんなこと言ってるボクもね、実は『本当のこと』から逃げたことがあるんだよね』
『あなたも?』
『そう、だから、強くならなきゃって』
『強くなったら、私も『本当の真実』を見れる?』
『うん、多分』
『え〜多分!?』
『うーん、じゃあ、絶対』
『絶対?絶対の絶対?』
『うん、絶対の絶対』

なんだか、その時、私にはその人が、とてもすごい人に見えた。そう言えば、この人は学者になりたいって言っていた気がした。

『なんか、あなたって先生みたい』
それは、素直な思いだった。
『え?そうかい?・・・はは・・・いいね、ボクは先生になりたいからね
 うん、・・・そう、本当の真実こそ、大事なことなのです・・・ってね』
『ふふふ・・・そうなのですね!』
『そうそう!元気が出た?』
『ハイなのです!私は、元気が出たのです!』
『そこは、「なのです」はいらないんじゃない?』
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