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天狐あやかし秘譚

第111章 先用後利(せんようこうり)


「えっと・・・彼に催眠を?」
「はいです。実はあなたの彼氏さんはですね、その潜在意識にすごくエッチに対する強い欲望を隠していたみたいなのです。それが変な形で暴走し、おそらくあなたを傷つけていたのですね・・・。」
「な・・・なんでそれを!?」
「話し方とかから?一流のカウンセラーならわかるのです!」

嘘だ。邪霊が憑いていたのを見たから分かったことだ。
しかし、女はこの嘘で私のことを信じる気になったみたいだった。

「そ、そうなんです!・・・元はそんな人じゃなかったのに、ここ最近・・・その、エッチのときに私を縄で縛ろうとしたり・・・その、普通のとこだけじゃなくて、違うところにもしようとしたり・・・っ!今日だって、生理中だからダメって言ったのに、もう予約とったからってSMホテルに連れ込もうとしたりっ!」

あらら・・・結構重症だったのですね・・・

「うんうん・・・彼氏はここの所、ちょっと疲れていたのでは?」
「え・・・あ、はい。ITエンジニアなんですけど、顧客からムリな仕様変更を言われて大変だって・・・」
「そのストレスが強くなったのと、エッチに対する妙な嗜好が出たのは?」
「あ、そういえば同じくらいです・・・なんで分かるんですか!?」
「え・・・ええ、まあ、うん、心理学的に考えればあり得ることです」

これも嘘。
要は体が弱ったことで相対的に邪霊の働きが強くなり、結果として彼の性癖が歪められたということだ。

「ど、どうしたらいいんですか?治りますか?」
「任せるのです!そのための催眠を今、かけたところです」
「さ・・・催眠?」
「試しに、彼氏になにか命令してみてください」

女性が右手を上げてと言ったら、彼はすっと右手を上げた。
下ろせと言えば下ろした。
何度かあれこれ試して、女性は完全に、男が催眠状態にあることを認めたようだった。

「これは・・・?」
「安心するのです。せいぜい半日も経てばもとに戻るのです。ただ、そうですねえ、その半日の間に、彼の歪んだ性癖を吐き出させる必要がある・・・のです!」
「と、言うと?」
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