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天狐あやかし秘譚

第111章 先用後利(せんようこうり)


「彼の潜在意識は今、苦しんでいるのです。自分のエッチに対する欲望を叶える方法がわからない・・・だから、彼女であるあなたに甘えてしまい、無理を言う結果になったのです。でも、それでは解決にならなかった・・・。彼はあなたに変態的行為を働いても、満足しなかった・・・違いますか?」

変態的行為、というところで女性の顔が赤らむ。
どうやらここまでに、相当なことをされたらしい。

「え・・・ええ・・・」
「それは、本来の願望を彼が勘違いしていたからなのです。彼は『したい』ではなく『されたい』側だった・・・だから処方箋はただひとつです」
「ただ・・・ひとつ?」
「今日、予約したSMホテルに彼を連れて行って、おもいっっっっっきり虐めて差し上げなさい。お尻もおちんぽも、めちゃくちゃに調教して差し上げれば・・・彼の真の願望は叶い、元の彼氏に戻るでしょう」

女性は『ハイ!』と目を輝かせて返事をする。女性側にも、ムリなエッチをされた怒りが蓄積していたのだろう。仕返しできるとなって、その目に嗜虐的な光がキラリと光っていた。

まあ、別に虐めなくても邪霊祓ったから戻るんですけどね・・・
そんな風に心の中では思ったが、もちろん言わないでおいた。
私をおばはん呼ばわりした報いを彼女から存分に受けるといい。

「あ、ありがとうございます!ほら、カイ、行くよ!」

彼女が言うと、カイくんとやらはふらりと立ちあがり、ゾンビのように彼女についていく。外はいつの間にか雨が上がったみたいだった。私はそんな彼らを見送っていた。

元の彼氏に戻るでしょうか・・・?
うーん、でも、今日の彼女さんからの『調教』で、カイくんが変な性癖に目覚めちゃったりして・・・
それはそれで、あの彼女だったら楽しめそうだから・・・ま、いっか

二人の姿が見えなくなった頃、私はちょこんと少し離れた椅子に座って事の次第を見ていた幼女神に向き直った。

「えっと・・・それで、あなた様は誰なのですか?」

私の感覚を信じれば、たしかに彼女のまとっている雰囲気は神のそれだ。
神はその姿を見せたい人にしか見えるようにしないと聞いている。
そして今、この神は私にその姿を見せることを選んでいる・・・つまり、私に用があるということなのだ。

「た・・・助かりました。ありがとうございます。」
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