第107章 末路窮途(まつろきゅうと)
「あ・・・あ・・・あ・・・」
その目は紅に燃え上がり、口が耳まで裂けていた。指先は大きく節くれだち、鋭い爪が赤く染まっている。そして、右手には、先程まで俺達を襲っていた男の首がぶらりと下がっていた。
『ぐおおおおおぅおっ!』
『それ』が、空を仰ぎ一声咆哮を上げた。それはまさに咆哮と呼ぶにふさわしい、獣のような雄叫びだった。
ダン、と地面を蹴ると一足飛びに逃げる男たちに追いついていく。廃工場に差し込む月明かりのもと、鬼のような『それ』が男たちの間を踊るように飛び跳ねていた。『それ』が腕を一振りするだけで、男たちの首が、手が、胴体が、まるでレーザーで切り裂かれたかのようにパックリと両断され、次々と倒れていく。
その場にいた10数名の男たちが、皆、事切れるのに20秒とかからなかった。
最後の男を切り裂くと、青く差し込む月光を浴び、『それ』は再び空を仰いで雄叫びを上げた。俺はその光景を、その後に繰り広げられた更に悍ましい光景を、目を見開いたまま、ただただ見つめ続けることしかできなかった。