第105章 昼想夜夢(ちゅうそうやむ)
悲しいかな、日暮の知識には指入れオナニーも、器具を使おうという発想もなかった。あの夜、前も後ろも徹底的に開発されてしまった身体は、クリトリスを弄るだけのオナニーではとてもじゃないけれども満足しなくなってしまっていたのである。
も・・・もう・・・
助けてぇ・・・
ニャア・・・
そんな日暮の様子をデスク前の椅子に丸くなった黒猫があくびをしながら眺めていた。この黒猫は、実はただの猫ではない。彼女の使役する式神『猫神』なのである。通常、式神というのは実体が薄く、普通の人には目に見えないものであるのだが、日暮の『猫神』はかなり強い実体がある。そして、その性質は猫のそれとほぼ同じであった。
要は、モフれるし、可愛いのだ。
と、いうわけで日暮は、一人暮らしの寂しさから、用もないのに、こうして式神を勧請して側においておくことが常だった。
その猫神が耳をピンと立ててベッドの上で悶える日暮に目を向けた。
どうやら日暮の『助けて』という言葉に反応したようだった。
ゆっくりと顔を上げ、ぴょんと椅子から降りる。
一体、我が主は何をしているんにゃ?・・・そんな風に思っている様子だ。
ニャア・・・
もう一度鳴く。しかし、相変わらず、日暮はクチュクチュとなにやら股の間から水を舐めるような音をさせて、苦しそうに『助けて』と呟き続けている。
にゃんだ?
ぴょん、と身軽にベッドの上に乗り、主が手を添えている部分に近寄っていく。そのあたりをフンフンと鼻を鳴らして嗅ぎ回る。
どうしたにゃ?大丈夫かにゃ?
多分、そんな気持ちだったのだろうか、猫神が太もものあたりをぺろりと舐めた。
「ひゃあっ!!」
大きな声が突然あがり、びっくりした猫神が体を震わせる。実際には、日暮のほうがもっと驚いていた。オナニーに耽っているときに、突然、ザラリとした生暖かい何かで撫でられたのだ。そのくすぐったいような気持ちいいような感触に、身体が猫神とは別の意味で震えてしまう。
日暮が見ると、自分の足元で猫神・・・彼女が『ニャンコ先生』と呼んでいる式神が、ペロペロとその小さな舌で前足を舐め舐め、毛づくろいをしているところだった。
「今の・・・ニャンコ先生?」