第101章 興味津々(きょうみしんしん)
「そういえば、おかしなことっていえば・・・」
祥子は奥の部屋に一旦引っ込み、問題集のようなものを数冊持ってきた。
「これは、あの子がいなくなったとき、部屋の机の上にあったものなんです・・・。あんまり捜査には関係ないかと思って、警察の人には言ってなかったんですけど」
私の言った『おかしなこと』という言葉で思い出したそうだ。
受け取った問題集をペラペラとめくってみる。几帳面そうな字で一生懸命に問題を解いているのが見て取れた。表紙を見ると「難関国立大学」と書かれており、それなりに難しいテキストであることがうかがえた。
「最後のページを見てください」
言われて、英語の問題集の内、彼女が解いたと思われる最後のページを見る。
「え?」
思わず声が出た。
なぜなら、そのページにはミミズがのたくったような文字がぐちゃぐちゃに解答欄に書かれていたからだ。
他の問題集も同様だった。数学、化学、社会、国語・・・みな、同じような感じだった。
「こんなことは初めてです」
たしかに、他のページには見られないことだった。私は、そっとその文字に指を這わせる。そして、仮説は完全に確信に至った。
「お母さん、愛理さんのお部屋を見せてください」
愛理の部屋はとても良く片付いていた。西側に窓がついており、それを開くと、そのまま下を見下ろすことができた。たしかにここから飛び降りたとしたら、ちょっとの怪我ではすまないような気がする。
「防犯カメラで、愛理がエントランスから出ていったところが確認できなかったんです。・・・でも、ここから外に出るなんて・・・」
いなくなった当時、窓は開きっぱなしだったということだった。なので当初、警察はロープのようなものを使って降りたのだろうと考えたようだった。しかし、靴がなくなっていないところから、やっぱりおかしい、となったみたいだった。
失踪したのは一週間前か・・・
どうだろう。辿れるだろうか。
霊視をしてみる。確かに机や窓、そして、窓の外に向かって薄っすらと呪力の痕跡が見て取れる。これを追いかければ、あるいは・・・。
「あ・・・あの・・・」