第1章
「様から離れていただけますか」
ヴラドは首筋の血を指で拭い、ゆっくり振り返った。
クラクラとした体を壁に預けながらも、余裕の笑み。
「ああ、君か。あの悪魔の執事。」
は座り込み、体を震わせていた。
ヴラドの血の味が口に残り、吐き気がこみ上げる。
正気に戻った今、恐怖と嫌悪が一気に押し寄せる。
セバスチャンはの前に立ち、ヴラドを睨んだ。
「今すぐ、この屋敷から出ていってください。
さもなくば——」
ヴラドは低く笑う。
「さもなくば、どうする?
君は悪魔だ。僕は純血の吸血鬼。力は、互角だろうね。」
ヴラドはに視線を移しながら言う。
「、君の体は僕を求めているんだ。
あの執事の血では誤魔化せないよ。
本当の渇きは僕でしか満たせない」
は頭を振り、涙を零した。
「ちがう……私は、あなたのものじゃない……
ここが、私の居場所なの……」
セバスチャンは一歩踏み出し、黒い影が部屋に広がり始めた。ナイフのような闇が、ヴラドを狙う。
「様の言葉が、答えです。」
「おやおや、怒ってるのか?
君はを玩具にしているだけだろう。
本当の愛を知らない悪魔が。」
セバスチャンの影が鋭く伸び、ヴラドの腕を切り裂いた。
血が飛び散る。
ヴラドは苦痛に顔を歪めながらも、笑った。
「いいね、その怒り。のためか?
それとも、玩具を取られるのが嫌か?」
ヴラドは傷を瞬時に癒やし、反撃する。
血の霧が部屋に広がり、セバスチャンの影を腐食しようとする。
二人の力がぶつかり、部屋の家具が軋む。
雷鳴が外で轟き、嵐が激しさを増す。
ヴラドはを見る。
「…
君はこの悪魔に騙されているだけだ。
一緒に家に帰ろう。」
セバスチャンはヴラドを壁に叩きつけた。
「二度と、に近づくな。」
ヴラドは壁から体を起こし、血を吐きながら笑った。
「……今日は、これで引き上げるよ。
だが、僕は本気だ。、待っていてくれ」
ヴラドは窓から嵐の夜へと姿を消した。