第1章
シエルとセバスチャンは、の安全を議論した。
の居場所が割れた以上、どこかに避難させるべきか
だが、結論は出た。
「一番安全に守れるのは、この屋敷だろう」
シエルの言葉にセバスチャンが同意。
悪魔が守るファントムハイヴ家。
ヴラドが来ても、対処できる。
はいつも通り暮らすことにした。
ある日の晩。
空が暗く覆われ、大嵐が英国を襲った。
雷鳴が轟き、雨が屋敷を叩く。
そんな中、馬車が門前に止まった。
あの男、ヴラドだった。
濡れたコートを払い、玄関でセバスチャンに応対する。
ヴラドは微笑みながら言う。
「取引の話の続きをさせてもらいに来た。
だが、この嵐では帰れそうにない。
申し訳ないのだが、今夜は泊めてくれないか?」
シエルも呼ばれ、断るわけにもいかず、
貴族の礼儀として、客室を用意した。
ヴラドは満足げに言った。
「ありがとう。おかげで、ゆっくりできる。」
夜、屋敷が静まった頃。
は部屋で、渇きに苦しんでいた。
ヴラドの気配が、屋敷にある。
それだけで、体が反応する。喉が焼け、理性が薄れる。
静かなノックが響いた。
は渇きに朦朧としながら、扉を開けた。
扉の先にいたのは、ヴラドだった。
一瞬にして、あの日々がフラッシュバックする。
金色の檻、豪華な部屋、飢えの罰、赤い血。
頭痛が襲い、吐き気がこみ上げる。
は壁に寄りかかり、息を荒げた。
対して、ヴラドは嬉しそうに微笑んだ。
「やっと会えたよ、僕の愛しい花嫁。
君の匂いが、こんな近くで……本当に、懐かしい。」
彼は喜びの言葉を紡ぎながら、ゆっくり近づいてくる。
「君がいなくて、寂しかった。
永遠に一緒にいようって、約束したのに……
どうして逃げたの?」