第1章
取引の話が終わり、ヴラドは立ち上がった。
屋敷を去る前に、二人に問いかけた。
「ところで、あなたたちは……吸血鬼の存在を、信じますか?」
シエルは眉をひそめ、セバスチャンは静かに見つめる。
ヴラドは微笑み、続けた。
「吸血鬼は、初めて飲んだ血に執着する性質があるそうです。心ではそう思わなくても、体は反応する。
その人が近くに来ると、飢えが加速するんだとか。
まぁ、これもフィクションの中の話かもしれませんがね。」
彼は軽く笑った。
「またお会いできる日を楽しみにしています。」
ヴラドは馬車に乗り、屋敷を去った。
霧の中に、金色の影が溶けていく。
「……怪しいな」
シエルの呟きにセバスチャンが静かに答える。
「ええ。様に、お伝えすべきです」
ヴラドの訪問は、表向きは取引の挨拶。
だが、本当の目的は、明らかだった。