第1章
は彼のシャツを脱がせ、ベッドへ導いた。
体を重ねると、トーマスの息が荒くなる。
にとって行為は食事のための手段でしかなかった。
それ以上でもそれ以下でもないのだ。
男の興奮が最高潮に達するとき、
は男の首筋に牙を立てた。
血の甘い味が広がる。美味しい。美味しい。
通常ならここで止まるはずだった。
しかし、は止まらなかった。
止まれなかった。
本能が求めるままに、血を吸い尽くしていく。
男の体が痙攣しはじめる。
意識を失い、ぐったりした様子にも構わず、
最後までその血を吸った。
男は息絶え、崩れ落ちた。
部屋に残されたのは、灰の山だけ。
はようやく我に返る。
震える手で灰を払い、部屋を後にした。
心臓が激しく鼓動し、恐怖と罪悪感が襲う。
私が殺した?、
血を吸い尽くすなんて初めてだった。
体は満たされたのに、後味が悪い。
どうして止まらなかったの?
どうしてあの男を殺してしまったの?
翌朝、新聞に小さな記事が載った。
「宿屋の部屋で男性失踪、灰が残る」
は自分の部屋でそれを読んで震えた。