第1章
エリザベスがファントムハイヴ邸を訪れた翌日、
その日は朝からエリザベスの母、ミッドフォード侯爵夫人が馬車で迎えに来るという知らせが入った。
朝が苦手なも、さすがに起きて出迎えることにした。
薄い朝の光をカーテンで遮りながら、軽く着飾って玄関ホールへ。
エリザベスはシエルの隣から離れず
「もう帰りたくないわ! シエル、お姉さま、みんなと一緒にいたい!」と駄々をこねていた。
侯爵夫人が到着し、優雅に馬車から降りる。
「まあ、エリザベス、また好き勝手したのね……」
呆れている伯爵夫人に初めて会うは挨拶をした。
「まぁ。この屋敷にもまともな人がいるのね。」
夫人はを気に入った様子だった。
は微笑みながら言う。
「ありがとうございます。リジーは本当に可愛らしいお嬢様ですわ。」
エリザベスはに飛びついた。
「お姉さま! 離れたくないわ!
は優しく背中を撫でた。
「また遊びましょうね、リジー。いつでも待ってるわ。」
馬車が去り、屋敷は急に静かになった。
気の抜けたような空気。
シエルはソファに座り、「……やっと静かになった」と呟くが、どこか寂しげだった。
食事を済ませた後、は中庭へ出た。
黒猫が待っていたように、足元に寄ってくる。
「おいで」
は持ってきたおやつ、魚の小さな欠片をあげ、 猫がじゃれるのを微笑みながら見つめた。
撫でると、喉を鳴らして甘える。
その様子を、少し離れたところからセバスチャンが優しく眺めていた。