第1章
酔った男は蕩けた視線を向けながら言った。
「嬢……いいものがあるんだ。
部屋で、一緒に楽しまないか?特別な……興奮剤みたいなやつさ。一度味わったら、忘れられないよ」
麻薬のことだ。
は怖がるふりをし、目を潤ませた。
「……そんな、怖いですわ。
でも、貴方が言うなら……
どうやって、手に入れたんですの?」
酔った男は続けて話した。
「最近、取引してる会社が土産にくれたんだ。
外国から来る特別なやつでね……」
男はさらに誘う。
「さあ、部屋に行こう。二人で、楽しもう」
は迷ったふりをしながら、決断した。
「……ええ、行きましょうか」
二人はレストランを後にし、近くのホテルへ。
男の泊まるスイートルーム。
は気づいていなかった。
影から、すべてを見守る黒い燕尾服の姿を。
セバスチャンは、屋敷に残るはずだったが、
心配が勝ち尾行していた。
彼の顔は、苛立ちと強い心配で歪んでいた。
が男とホテルに入る瞬間、セバスチャンは拳を握りしめた。