第1章
長い沈黙の後、は続けた。
声が、少し震える。
「でも……物足りなかった。
人間の血じゃ、満足できなかった。」
は目を泳がせながら小さく告白した。
「あなたの血じゃないと……もう、だめかもしれない。」
セバスチャンの表情が、ぱっと明るくなった。
「それは、光栄です」
彼は襟を少し開き、白い首筋を露わにした。
「召し上がりますか?」
は頷き、ベッドから立ち上がった。
彼の首に手を添えて、牙を立てる。
熱く、甘く、濃厚な悪魔の血。
物足りなさは、まったくなかった。
体が内側から満たされ、快楽が波のように広がる。
セバスチャンの息が乱れ、微かな愉悦の声が漏れる。
気が済むまで、たっぷりと吸った。
はゆっくり離れ、血を拭った。
「……ありがとう。」
セバスチャンは笑顔で、深く頭を下げた。
「お役に立てて、何よりです。
おやすみなさいませ、様」
彼が出て行き、部屋が静かになると、はベッドに横たわった。
モヤモヤは、すっかり消えていた。
体も心も、満たされている。
「……おやすみなさい。」
穏やかな眠りが、を包んだ。