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Butler's Vampire *R18

第1章  






シエルとセバスチャンは相変わらず忙しそうだった。
 

今日も朝早くに馬車で出かけていった。
ここ連日、地下社会の事件処理に追われているらしい。



屋敷は静かで、使用人たちはそれぞれの仕事をこなすが、どこか物足りない空気。



は客室の窓辺に座り、ため息をついた。



退屈だった。
もちろん、不満はない。


でも、チェス相手のシエルがいなければ、セバスチャンの絶品スイーツもない。
ただ、本を読んだり庭を眺めたりするだけの時間は、途方もなく長く感じた。





「……少し、出かけてみようかしら」



久しぶりに、は着飾った。
黒い髪を優雅にまとめ、長らく仕舞っていたドレスをまとい、メイクを丁寧に施す。


鏡に映る自分は、街で男たちを魅了していた頃の姿。絶世の美貌が、薄暗い部屋で輝いた。



使用人たちに、
「少し出かけてくるわ」と伝えた。



メイリンが慌てて声をかける。
「お嬢様! 馬車を呼びましょうか?」



は微笑み、首を振った。
「いいの。そのへんを歩くだけよ。」





実際そんなことはない。



吸血鬼は飛ぶことができる。
疲れるから滅多にしないが、今日はなんだか遠くへ行きたい気分だった。



人目につかない裏道へ移動し、は軽く跳躍した。
体が風を切り、屋根から屋根へ、影のようにロンドンの街を駆け抜ける。




疲労は感じるが、自由な感覚が心地よかった。




街に着き、賑やかな商店街を歩く。
大きな荷物は持てないが、小物やメイク用品なら自分で持ち帰れる。



以前に稼いだお金はまだまだ残っている。
髪飾り、香水、新しいリップ。
そういった物を中心に買い物を楽しんだ。





ふと、一軒の建物が目に入った。
若者に人気の酒場らしくまだ日が落ちていないというのに大盛況。




笑い声と音楽が漏れ、活気が溢れている。



は足を止め、懐かしんだ。
以前の生活...夜の街で男を誘い、血を吸う日々。




セバスチャンに出会ってからは人間の血を吸っていない。




ふと、喉が疼いた。
「……久しぶりに、人の血を飲みたいわ。」




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