第1章
動き回った疲労と、
花を咲かせるのに使った力が、体を重くする。
少し寝ていたようだ。
気づけば屋敷は静まり返っていた。
目が覚めると、喉が渇いていた。
は初めて、自分から行動した。
セバスチャンの部屋を訪ねる。
廊下を歩き、ドアをノックする。
「……入るわ」
ドアを開けると、使用人にしては広い部屋だった。
クローゼット、ベッド、デスクと椅子。
簡素で無駄のない空間。
セバスチャンはデスクで書類を整理していた。
「様、どうかなさいましたか?
先ほどお部屋を覗いたところ、お休みでしたのでそっとしておきました」
は少し照れながら、
「……血が、欲しいの。喉が渇いてるわ」
セバスチャンは立ち上がり、袖をまくった。
「では、どうぞ」
はセバスチャンに近づいて
人差し指でその首筋に触れた。
「……今日は、ここから頂いても?」
セバスチャンは一瞬目を細め、微笑んだ。
「もちろんです」
彼は燕尾服の襟を少し開き、白い首元を露わにした。
が吸血しやすいように少し屈んでくれる。
は彼の首に腕を回す。
唇を寄せ、牙を立てる。
熱く甘い血が、喉を満たす。
首筋から直接吸うのは格別だった。
脈打つ熱さ、香りの強さ。
体が震え、快楽が広がった。
吸い終えが離れようとした時、
セバスチャンが低く囁いた。
「様、遠慮していませんか?
悪魔の血は枯渇しません。
好きなだけ、吸っていただいて構いません」
その言葉に、は再び牙を立てた。