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Butler's Vampire *R18

第1章  







新聞では「灰の事件」について意外な結論が報じられた。 


「失踪したという男性たちは、自ら姿を消した詐欺師や借金逃れの輩だったことが判明。さらに、部屋に残された“灰”は特殊な煙草の灰や、実験用の化学薬品の残渣によるもの。

殺人事件ではなく、
ただの悪戯と勘違いによる騒動だった」



警察の公式発表は、しょうもないほどに現実的で、
飛び交う様々な噂を一蹴するものだった。

これを知った世間は拍子抜けしつつ、
灰の事件は急速に風化していった。



これはシエルとセバスチャンが仕組んだ偽装工作だ。

証拠を捏造し、目撃者を誘導し、
事件を「解決」させたのだ。



は、そんな記事を読み苦笑した。


「悪魔の仕事って、恐ろしく上手いわね……」




の生活リズムは、吸血鬼ゆえに夜型だった。

朝方に就寝し、昼頃に目を覚ます。
日光に弱い体質を考慮し、カーテンは厚く閉められ、部屋は常に薄暗く保たれていた。


静かなノックが響いた。
「様、お目覚めでしょうか」


扉を開けたセバスチャンは
相変わらず黒い燕尾服を完璧に整えている。


その瞳が優しくを見つめる。


はベッドから起き上がり、髪を軽く直した。
「……ええ、今起きたところよ。
セバスチャン、毎日迎えに来てくれるのね。」


「様の生活リズムに合わせております。
昼食をいかがですか? 食堂に軽めのものをご用意しております。」




支度をして向かうと、テーブルに並ぶのは
スコーン、フルーツのタルト、そして香り高い紅茶。

は人間の食事は必要ない。
血が主食で、食べ物は嗜好品の域を出ない。

それでも、彼女はフォークを手に取り、タルトを一口食べた。
瞬間、目が輝いた。


「……これ、すごくおいしい!
甘さが絶妙で、フルーツの酸味が生きてるわ。
こんなスイーツ、初めてかも」


キッチンから覗いていたバルドが顔を赤らめて照れ隠しに頭を掻いた。


「へへ、ありがとうよ、お嬢さん!俺の自信作!」



実際のところ、バルドは火加減を誤って爆発しかけた。
それをセバスチャンが救ったのだった。



セバスチャンは微笑みながら、バルドに軽く目配せした。

バルドは慌ててキッチンに戻っていった。



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