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【図書館戦争】追憶【堂上篤】

第1章 彼はあの子の王子様







そう思った時「早食いは身体に悪いよ、笠原さん、早乙女さん」と上から声が掛かった。
視線を上にあげるとそこには別の班の教官がいた。
たしか……小牧教官、だったかな。
堂上教官と同じ二等図書正だった気がする。
別の班なのに、なんで私と郁の名前を知っているんだろう。
温和で優しい雰囲気の小牧教官は女子隊員からの人気がすごく高い。
その証拠に食堂が女子たちの黄色い声で包まれた。
口の端をあげてまるで「ざまあみろ」と笑う郁だけど、あんたが威張る要素どこにもなくないか……、と思ったが、味噌汁と一緒に飲み込んだ。

堂上教官と小牧教官は空いている隣のテーブルに座った。
瞬間、郁と堂上教官がばちばちっと火花を散らせて睨み合った。

「………居心地悪ぅ」

閉まっていた心の声がついに漏れてしまったが、幸い誰にも聞かれずにすんだみたい。
よかった。

なんて思っていたのも束の間。
郁と柴崎が席を立った。
うっそでしょ。
もう食べ終わったの!?
私まだ半分も残っているんですけど!!

「え、待ってよ。私まだ……」
「早乙女はゆっくり食べてなさいよ。笠原と私はもう食べ終わったから」
「いや、だから待っててくれてもよくない?」
「ごめん、それできないわ」
「女子の友情ってこんなに脆いものだっけ!?ねえ!!郁!私達親友だったよね!?今この瞬間解消されたの⁉嘘でしょ!!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ私の声は郁たちには届かなかった。
むしろ「後は頼んだ」と言わんばかりの去り方!!

「後で覚えてろよ!!許さねえ!!」

負け犬の遠吠え、とは違うかもしれないけど叫ばずにはいられなかった。
残された私は諦めて、残りのご飯に手を付ける。




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