【aph】セカイはいつか飽和して【dc】【prsk】
第2章 薫風が帯びる
「……お待たせ」
集合場所のショッピングモール。僕の格好は、黒のパーカーに黒の短パン、素足のまま突っ込んだスニーカー。お世辞にも「お出かけ」とは言えない、雑な服装だった。
「あ、来た」
僕の声に、待ち合わせていた四人が一斉に振り向いた。
(……全員、顔がいいな)
場違いな感想を抱きながら歩み寄る。
「おはよう……って、髪の毛大変なことになってない?」
「寝起きだから」
「寝起きって……。というか、服が全身黒って、一体どうなってるのよ」
「服が、これしかなかったから」
︎︎前日に服を洗濯してしまったので、消去法的にこれを着るしかなかったのだ。
「ねえ、普、頬になんか跡がついてない?」
︎︎そう言って奏が頬に触れた。触っと撫でる手にどこかくすぐったさを感じた。
「多分それ、本の跡」
「本? ︎︎こんなに跡がついてるけど」
︎︎まふゆが不思議そうな顔をして尋ねた。この人がそんな顔をするのは珍しいんじゃないか。
「……朝起きたら、本に埋もれてたから」
「え、大丈夫? ︎︎怪我してない?」
「心配しないで。痛くは無い」
「いや、そういう問題じゃないって」
︎︎絵名も瑞希もみんなちょっとだけ気が紛れたみたいな顔をしていた。
(みんなといるのがなんか落ち着く気がする)
︎︎この感情はよく分からなかった。
「それはさておき、早速ショッピングに参りましょう!」
「ええ、そうね! ︎︎普、はぐれないように手を繋ご」
「うん」
︎︎絵名が差し伸べた手に僕はそっと重ねた。
(全く、信用がないな)
︎︎とはいえ、このメンツで出かけて迷子になるのは毎回僕なのだ。故意では無いとはいえ、途中で迷子になると困るから、誰か手を繋ぐことになった。