第1章 初恋
想像しただけでもえぐい気持ちなってまう。
いや、想像しちゃあかんやろ。
こんな…
「先、待ってるんで。来てくださいよ」
「………わかっとる」
もう、ええか。
別にどうせ叶わないんもんなんや。どう足掻いたって、今告白しやっても振られるだけ。せやなら最後にええ気持ち味わったほうがええんちゃうんか?
なぁ、自分。
時計の針がだんだんと進む。
「信介。お前大丈夫か?さっきからぼーっとしとるけど」
「…ああ、せやね。……ちぃと疲れてもうたかもしれへんなぁ」
「あんま無理すんなよ」
いつもどおりのメニューもこなすも全く集中できひん。
時間のことばっか気にしよって、角名と鏡花も見るも恥も無くいつも通りや。
なんで、俺ばっか…。
「北さん。……北さん!北さん!」
「え、あ。なんや、あつむ」
「もう片付けも部活終わりましたで。アラン君が体調悪いかも言うてたんでこっちで挨拶も済ませてもう帰る時間ですけどぉ」
「あー、もうこんな時間か。すまへんな」
「…体調、気をつけてくださいね?」
「わかっとる。俺も帰るからあつむもはよ帰り」
「俺、北さんと帰りたいから待ってたんです!」
「………俺、このあと用事あんねん。すまんなぁ」
心のなかで謝る。
用事言うても最低な用事。
「…そーですかぁ。ほなまた今度帰りましょ!」
「せやね」
俺は手を降って帰っていくあつむを確認してゆっくりとあの場所へ向かう。
足取りは重い。