第2章 俺の気持ち
「すなぁ、」
涙で目をいっぱいにしたその顔と、あまい声で
名前を、言うた。
力が出なくなって、腕がぱたりと落ちた。
「……何、やってるんですか?北さん」
「すな、」
ガラリと開いたドアの先には涼しい顔をした角名がおった。
「……角名。お前、」
「人の彼女に手出すなんて、北さんもやりますね」
二度も、騙された。
「鏡花。どっちがよかった?北さん、優しかったでしょ。俺なら濡れて無くてもすぐ挿れてたもんね」
「…角名、がええ、」
「気持ちいときは倫太郎でしょ?」
「倫太郎、」
心が、心臓が痛くなる。
もう、画鋲で刺されてるような。そんな感覚。
「…鏡花、すまん…」
俺は鏡花の顔も見ずに、その場をたった。