第1章 初恋
「なぁ、治。聞きたいことあるんやけど」
「俺なんかしました?」
「ちゃうねんけど」
昼休み、治と昼ご飯を二人で食べようと誘った。
クラスをチラ見したがいつも通りあの二人は一緒に食べておった。
角名はスマホを見たんやけど。
「話ってなんですか?あつむや行けん話なら鏡花のことですね
ぇ」
あつむにせぇかった理由は単純に口が軽いから。
「そうゆうふうになるんかなぁ。………角名ってドSやと思う?」
「…そうやと俺は思いますけどねぇ。いや、誰がどう見てもドS
のド変態やと思います」
おにぎりを頬張って喋ってんのは注意する。
「その理由は?」
「んー、この前エロ本読んどったときにSMプレイのとこばっか見よったし、部屋行ってもローターとかそういうもんばっかある
んですもん」
「………そんじゃ、鏡花はドMちゅうわけか?」
もし、角名に無理やりやられてるおもたら余計心が痛なる。
「そーなんちゃいます?せやから付き合ったんかと思ってましたわ。あつむも行ってたけど部室でもヤッてる声聞こえる言うてましたし。鏡花が嫌ならとっくに別れてるちゃいます?」
じゃあ、無理やりやないってことか…。
無理やりやったら奪えるおもたんか。
「……北さん、まだ諦められんですか?」
「知っとるんか…」
「俺は兎も角、あつむも知っとります。」
あつむも、知っとたんか…。
「…わからへんねんいつまで拗らせてるちゅうはなしやけど
な」
「……別にええと思いますけど。角名は見せつけてくるから余計
諦めろって言われてる気しますもんね」
「どーいうことや?」
「鏡花といちゃついてるとこわざわざ見せつけるんです。ほら、部活んときやっていつもいちゃついてる。教室ではあんまりせぇへんのに。北さんがおるからちゃいますか?」
それは、どーいうことや。
「おい、治。それって、角名も俺が鏡花のこと好きって知っとるってことか?」
「それしか考えられへんと思いますけどねぇ」
すべてが繋がった。
部活の時、俺が見てるときだけいちゃつくんや。
俺が鏡花のこと好きやから。
自分のもんだて俺に見せつけとる。えやから奪うな、と。
あの放課後だって、わざと俺がいるのしとって激しくして、見せつけた。
「……治。ありがとさん。もうかえってええで。このパン、治の
お礼のために買おうたん。食うてええで」
「ほんまですか!」
