第4章 五ン合
「あんたの手も冷たいな。寒いのか」
他愛ない動きで小枯が鬼鮫の手を両手で包み込んだ。
それがあまりに自然すぎて、鬼鮫は反応出来なかった。
「風邪をひくなよ?」
何心無く優しい小枯に、鬼鮫の中の何かが引き攣れたように痛んだ。
小枯の笑顔が温かい。冷たい手で包まれた冷たい手が、温かい。
「あんたもちゃんと山を下りて戻らなきゃいけない身だ。大事にしろ」
小さな手が離れていく。
冷たさと冷たさの中にあった温みが抜けていく。
それを引き戻そうとして鬼鮫は空を仰いだ。
自分がわからない。
ここで何をしているんだ、私は。