第1章 あの夜の続き
「やっぱり美玲だ。後ろ姿でもしかしてと思って声掛けちゃった。久しぶりだね」
「久しぶり。なんでこんなところにいるの?」
相変わらずかっこいいなんて。私から振ったくせに彼を初めて見た時みたいなふわふわした気持ちが蘇る。
湊斗は地元を出ていないものかと勝手に思っていた。まさか、私をつけてた?
「異動になって、こっちで働くことになったんだ。周りの人は子持ちが多くて独身の俺が飛ばされたってわけ」
付き合っている時から異動がある会社ということは知っていた。なるほどななんて鵜呑みにしてしまった。
「そうなんだ。大変だね。湊斗もここのバーよく来るの?」
「ううん。1回だけ接待できたことがあって気に入ったから今日は一人で来てみたんだ。」
「なるほどね」
それからなんだかんだで会話は弾み、いい具合にお酒が回ってきた。私もべらべら余計なことまで喋ってしまう。
「彼女できた?」
「まさか。そんな簡単に美玲のこと忘れられないよ」
あの時みたいな、愛おしそうな目で私を見つめる。それに耐えられなくて咄嗟に目を逸らした。いつもじゃ絶対に頼まない度数の高いお酒を頼んでしまった。
元々お酒が強くない私は見事に酔ってしまった。頭がグラグラする。瞼も重たい。視界もぼやける。
「美玲飲みすぎじゃない?元々お酒強くないでしょ。家まで帰れる?」
「わかんない」
「ここから近いし俺の部屋くる?」
思考回路はもうぐちゃぐちゃ。なんかもうどうでも良くなって承諾した。これから起きることは分かっているのに。
「うん。湊斗のおうちつれてって」