第1章 人生何が起こるか分からない
『ここがこうでしょ?それがこうなって…。』
「あー!ここがとかそれがこうって意味わかんないよもっと分かりやすく教えてくれよー!」
瀬名は自分がやるとなれば理解はできるが人に教えるとなるとまた話が変わってくる。教えるのが下手なのだ。
だが、弟のため。
頼ってくれたのも有難いことだと必死に教え続けた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
―そして数時間後
「なんとかわかった気がする。」
『ごめんね教えるの下手で…。』
「姉ちゃん悪くないよ、俺が教えてって言ったんだし。」
雄大は瀬名の下手な教え方でも理解は出来たようだ。そして瀬名は飲み物もを持ってくると行って部屋を出てすぐに戻り、雄大と雑談を始める。
上京して仕事に就いてからは連絡こそとっていたものの、瀬名が忙しいのもあり中々電話でも話す機会がなく2人は話し込む。
『雄大は将来何したいとか夢とかあるの?』
「何したいとかはないけど…夢なら、ある、かな…?」
『え、なになに!教えてよ!』
そうすると少し照れたように顔を赤らめ、何故かムスッとしている。
それを見てニヤニヤする瀬名。
なんとももどかしい沈黙の空気が流れる。その空気を払ったのは雄大だった。
「姉ちゃんみたいに、なりたい…。」
『え?私みたいに?』
「うん…。姉ちゃんみたいにばりばり働いて、仕事もこなせる様になって、父ちゃんと母ちゃんに安心させたいんだ。」
「私なんて大したことないけど、素敵な夢だね。お父さんもお母さんもきっと喜ぶよ。」
「姉ちゃんはすごいよ、こんな事言うのもあれだけど…。」
するとまた沈黙が流れた。
言いずらそうにしている雄大を見て、気にしないで言っていいよと伝える。