第1章 人生何が起こるか分からない
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「あら、3人ともどどこにいたんだい?」
母が化粧をなおし、みんながいる部屋へ戻ると第一声を放ったのはおじいちゃんだった。
そしてゾロゾロ人が集まってくる。
『そんな大した事じゃないよ!仕事のことでお母さんと話しててお父さんが探しに来てくれたの。』
「姉ちゃんばっかー!俺もその瞳欲しかったー!」
ゴツッ
空気を読めといわんばかりの力で殴る。
5つ下の弟だ。
さっきまでその話で母が落ち込んでいた事もあり力任せに黙らせる。雄大。痛ぇー!と殴られた所を抑え涙目になっている。
弟の名前は雄大。
父にも母にも、そして私にもいつまで経っても甘えんぼうの可愛い弟だ。
弟は学生で今年今受験を控えている。
『いつまでもそんなこと言ってないで勉強頑張りなー!』
「俺、姉ちゃんみたいに頭良くないから勉強はいつまでも嫌いなんだよーだ。」
『アホ。』
「誰がアホじゃー!!!」
さっきまで母としんみりしていた瀬名は雄大と言い合いになる。だがこれもいつもの事だ。
ふたりの言い合いにみんなが相変わらず仲がいいと笑っている。さっきまで曇り顔だった母もいつの間にか顔は晴れていた。
そしていつしか時間が過ぎ、時は夜。
瀬名はお風呂に入り自分の部屋でゆっくり過ごしていた。
すると、コンコンと扉をノックする音が聞こえる。
「姉ちゃん、ちょっといい?」
『いいよー。』
そして部屋に入ってきたのは雄大だった。
突然の事だったので瀬名がどうしたの?と聞くと、
「姉ちゃんごめん、こんな時間だけど、数学教えてくれない?」
勉強をする、という如月に対して少し驚きを隠せなかったが、いいよと答え勉強を教えることになった。