第1章 人生何が起こるか分からない
『お母さん、私を産んでくれてありがとう。大好き。』
瀬名がそう言うと、目を潤しながら私も大好きよと、なんとも平和な時間が流れる。
そしてしばらく仕事での出来事を聞かれたので答えていた。
高校を卒業するまで虐められていたことはもちろん、職場での嫌がらせがあることも伝えていた。
幼い頃は瞳の色が違う事で病気扱いをされ虐めにあっていたが、高校に入ると男子がよってくることが多くなり、女子からはそれが気に食わないのか、孤立していた。
職場でも同様、男性が言い寄ってくることがさらに多くなり、女性からは嫌がらせをされていること。
だが本人はケロッとしていて、言い寄ってくる男性の事も、嫌がらせをしてくる女性のことも、シャットダウンしていて、ただ仕事を毎日こなしていた。
人と関わることは家族と少しの友達、ただそれだけで瀬名は満足だったのだ。
ので、瀬名は、
彼氏いない歴=年齢、それでも瀬名は1人でも生活を送る事は対して難しいことではなかった。
そうやって色々母に話をして、私は大丈夫だからと、母に心配をかけさせまいと、ニカッと笑い、それにつられて母も笑う。
どれくらい時間がたっただろうか、話し込んでいると足音がして、その足音はどんどん部屋に近づいてくる。
そしてその足音の人物が少し大きい声を放つ。
「母さーん!瀬名ー!どこにいるんだー!?」
それは父の声だった。
長い間母と瀬名の姿が見えなくて心配になった父が探しにきたのだ。
『あ、お父さん!こっちこっち!ごめんねお母さんと少し話してた。』
「あ、そうだったんだな…ってお母さんどうしたの大丈夫!?」
お母さんが泣いていた結果、化粧が少し落ちめのまわりが黒くなっていた。パンダとはこういうことだ。
瀬名は化粧ポーチを取りに行き別室にまた戻り母に化粧道具を貸す。
「せっかくのお正月で皆いるんだから、ほら、ね?」
母はありがとうと鏡を開き化粧をなおす。